親や家族のリハビリについて考える中で、「通所リハビリテーションはどのような人が利用できるのか」と疑問を感じる方は少なくありません。
介護サービスにはさまざまな種類があるため、対象条件が分かりにくいと感じることもあるでしょう。
この記事では、通所リハビリテーションとデイサービスとの違いや、費用の目安などについて、分かりやすく整理して解説します。
通所リハビリテーションの対象者と利用できる方の条件
通所リハビリテーションの対象者は、介護保険制度において要介護認定または要支援認定を受けた方です。
年齢や疾病の有無によって対象となる範囲が異なるため、ここでは条件ごとに整理して説明します。
要支援1〜2・要介護1〜5の認定を受けた方が対象
| 要介護1〜5の認定を受けた方 | 通所リハビリテーションの対象 |
|---|---|
| 要支援1〜2の認定を受けた方 | 介護予防通所リハビリテーションの対象 |
いずれも介護保険サービスの一つであり、医師の指示に基づいて提供される点が特徴です。
厚生労働省の「令和5年度 介護給付費等実態統計」によると、受給者のうち要介護1〜3の方が全体の約6割を占めており、比較的軽度〜中度の方の利用が多い傾向です。
なお、要介護認定や要支援認定を受けていない場合は利用できないため、まずは市区町村の介護保険窓口で申請手続きを行う必要があります。
40〜64歳でも特定疾病があれば申請できる
65歳以上の方は、原因となる疾病を問わず要介護認定・要支援認定の申請が可能です。
一方で、40〜64歳の第2号被保険者の場合は、厚生労働省が定める16種類の特定疾病が原因であることが申請条件となっています。
- 脳血管疾患
- 関節リウマチ
- 初老期の認知症
- 回復が見込めない状態にあるがん など
これらは介護保険制度上、加齢に伴う心身の変化と関連性が高いとされている疾病です。
自身が対象に該当するか判断が難しい場合は、主治医や市区町村の担当窓口に相談することで、必要な情報を得ることができます。
退院後の機能回復や日常生活の維持を目指す方が多い
通所リハビリテーションの利用者には、入院中に行っていたリハビリテーションを、退院後も継続したいと考える方が多く見られます。
また、日常生活における動作をできるだけ維持したいという目的で利用されるケースも少なくありません。
厚生労働省の資料では、「退院・退所直後の機能低下を防止する観点から、退院後できるだけ早期に訪問・通所リハビリテーションを導入することが望ましい」とされています。
通所リハビリテーションは、医師の判断やケアプランに基づいて提供されるサービスであり、利用の可否や内容については専門職と相談しながら検討することが大切です。
通所リハビリテーションの利用条件と開始までの流れ
通所リハビリテーションの利用を始めるには、要介護認定(要支援認定を含む)を受けていることに加え、医師の判断による指示書が必要とされています。
利用開始までの手続きを整理します。
要介護認定の申請からサービス利用までの手順
まずは、市区町村の窓口で要介護認定の申請を行います。申請後は、認定調査や主治医意見書をもとに審査が進められ、原則として30日以内に結果が通知されます。
- 市区町村の窓口で、要介護認定(要支援認定を含む)の申請を行う
- 調査員が自宅や入所先を訪問し、心身の状態や生活状況について認定調査を実施する。あわせて、市区町村からの依頼により、かかりつけ医が「主治医意見書」を作成する
- 認定調査結果と主治医意見書をもとに、介護認定審査会で審査が行われる
- 審査結果に基づき、市区町村が要介護度を決定し、申請者へ通知する
ケアマネジャーによるケアプラン作成と施設見学
要介護認定の結果が通知された後は、ケアマネジャー(介護支援専門員)と相談しながらケアプランを作成します。
この段階で、通所リハビリテーションの利用回数や利用曜日など、生活状況に応じた内容を検討していきます。あわせて、通所リハビリテーション事業所の見学を行うケースも多く見られます。
リハビリテーションに関わる専門職の配置状況、送迎の対応範囲、施設内の雰囲気などを事前に確認しておくことで、利用後のイメージを持ちやすくなります。
通所リハビリテーションとデイサービスの違いと選び方
通所リハビリテーションとデイサービスは、いずれも日帰りで利用できる介護保険サービスです。
一見似たサービスに見えますが、目的や人員配置、対象となる利用者の考え方には違いがあります。
| 項目 | 通所リハビリ (デイケア) | デイサービス (通所介護) |
|---|---|---|
| 目的 | 医師の指示によるリハビリ | 日常生活支援・孤立感の解消 |
| 医師の配置 | 常勤1名以上(必須) | 配置義務なし |
| リハビリ専門職 | 理学療法士や作業療法士などを配置 | 機能訓練指導員 |
| 対象者 | 要支援1〜2 要介護1〜5 | 要介護1〜5が中心 |
身体の状況や希望に応じた使い分けの考え方
退院後の生活に向けて、医師の管理のもとでリハビリテーションを継続したいと考える方には、通所リハビリテーションが選択肢の一つとなります。
一方で、日常生活のサポートや、入浴・食事、他の利用者との交流を重視したい場合には、デイサービスが利用されるケースも多く見られます。
実際の利用にあたっては、身体の状態や生活環境、本人や家族の希望を踏まえながら、ケアマネジャーと相談して検討することが大切です。
通所リハビリテーションにかかる費用と自己負担の目安
通所リハビリテーションにかかる費用は、要介護度や利用時間、事業所の規模などによって異なります。
ここでは、介護保険制度に基づく一般的な考え方として、自己負担の目安を整理します。
要介護度と利用時間で変わる基本料金
通常規模の事業所を6〜7時間利用した場合、1割負担となる方の自己負担額の目安は次のとおりです。
| 要介護1 | 約715円 |
|---|---|
| 要介護2 | 約850円 |
| 要介護3 | 約981円 |
| 要介護4 | 約1,137円 |
| 要介護5 | 約1,290円 |
なお、これらの金額は制度上の基本的な目安であり、加算の有無や地域区分などによって実際の負担額が前後する場合があります。
要支援認定を受けている方の場合は、月額定額制となっており、
- 要支援1:月額2,268円
- 要支援2:月額4,228円
が自己負担額の目安とされています。
参照元:どんなサービスがあるの? – 通所リハビリテーション(デイケア)|厚生労働省
食費や日用品費など介護保険の対象外となる費用
通所リハビリテーションでは、介護保険が適用される基本料金とは別に、実費負担となる費用が発生する場合があります。
代表的なものとして、食費やおむつ代、日用品費などが挙げられます。これらの費用は事業所ごとに設定されており、利用内容や回数によって月々の負担額が異なります。
あらかじめ内訳を確認しておくことで、利用後の負担を把握しやすくなります。
また、1か月の自己負担額が一定の上限を超えた場合には、「高額介護サービス費」として、申請により払い戻しを受けられる制度があります。
